コラム

労働時間管理~残業許可制

2021年3月30日

残業許可制

残業につき上長等の許可を要するとし、許可なしには残業とみとめない制度(いわゆる残業許可制)を導入している企業も多いと思います。

きちんと運用することが重要

しかし、制度を導入するだけでは、下記大阪高裁判決 が述べているようなリスクが残ります。残業許可制を導入し、それをきちんと運用することが重要です。

大阪高裁平成17年12月1日判決(労働判例933号69頁)

「…被控訴人自身,休日出勤・残業許可願を提出せずに残業している従業員が存在することを把握しながら,これを放置していたことがうかがわれることなどからすると,具体的な終業時刻や従事した勤務の内容が明らかではないことをもって,時間外労働の立証が全くされていないとして扱うのは相当ではないというべきである。以上によれば,本件で提出された全証拠から総合判断して,ある程度概括的に時間外労働時間を推認するほかない。

 そして,前記認定事実によれば,控訴人が主張する午後7時30分以降の業務は毎日発生するものではないこと,控訴人自身,繁忙期以外の時期には,やろうと思えば午後10時には退社できたことを自認していること,控訴人の平成3年11月ころから平成4年8月ころまでの大阪営業所における時間外労働時間(時間外手当が支給された時間)は,概ね1か月40時間ないし50時間程度であり,これには控訴人も特に大きな不満を述べていないこと(1か月の労働日数は約20日間であるから,毎日同程度の残業をしたとすると,1か月40時間の場合は,1日当たり2時間〈午後7時30分まで〉,1か月50時間の場合は,1日当たり2時間30分〈午後8時まで〉となる。),A所長作成の文書では,控訴人は,午後9時~12時ころに帰社していた旨の記載があることが認められ,これらの事実によれば,控訴人は,平成13年5月以降平成14年6月までの間,平均して午後9時までは就労しており,同就労については,超過勤務手当の対象となる(ただし,平成13年6月22日及び平成14年3月22日については,午後6時30分までである。)と認めるのが相当である。…」

弁護士 植木 博路

(長崎、福岡で「企業側」の労務問題を取り扱っています)

植木博路ひろみち

長崎県弁護士会所属、弁護士法人 ALAW&GOODLOOP代表社員

主な取扱分野

不動産法務、労働法務(使用者側、人事労務管理に関する制度構築支援,就業規則の作成)、会社法務、株主総会対策、事業再生、M&A、契約書作成、債権回収、その他企業法務全般民事家事の示談交渉、調停、訴訟

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